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省我保育園園長 藤森平司
1986年 設立にあたって

1.発足の必然的要因
八王子は、人口43万人都市として、民間保育園54園、公立保育園20園が存在し、今後多摩ニュータウン造成に伴って20園余りの保育園新設が予定されている地域である。しかし、保育所増設に見合う人口の増加がある訳ではなく、人口分布の移動による必要性を新旧保育所の整理をせずに、新設でカバーする訳である。当然、これに、保育所機能の見直しを余儀なくされる状況が起き、また、民間保育園の集合体であるところの「園長会」の見直し、新設園についての考え方の見直しが行なわれたのである。
まず、親睦会的意味合いの強かった「園長会」が「八王子私立保育園協会」として衣替えし、協会として、成すべきこと、集合体でなければできないことを洗い直し始めたのである。また、新設園については、市から推薦依頼を協会が受け、現存する保育園で、どのような園が、設置者が望ましいかを検討することになったのである。

2.「八王子保育所研究会」発足までの経緯
その中で、次第に、若手(20〜30代)の園長、副園長らが園運営に当たりはじめ、協会役員にも選出されて来た。今まで、保育園数が多い故に、横のつながりがなく、個々の園独自の努力では、幼稚園の保育園化、出生率減少に伴う定員割れに対する策に限界が見え始めた矢先、敬愛みどり保育園園長の上領先生と出会い、若手園運営者の会を発足しないかという話になった。まだ、お互いよく知り合った訳ではなかったが、役員の中から、そして園長会の行事等に参加したことのあるメンバーを1園ずつ訪問し、設立趣旨を説明したのであった。そして、さつき保育園園長の斉藤先生、芝励第三保育園園長の長田先生、まや保育園園長の小島先生、打越保育園副園長の光宗先生、横川保育園園長の宮崎先生、南原台保育園副園長の小坂谷先生、わらべ宇津木台保育園園長の高木先生を加えて、9人が集まったのである。そして、60年10月に9人で発足したのが「八王子保育所研究会」である。

3.保育所として原点に戻って
まず、話し合われたことは、今の状況下にあって、成すべきことは何であるか、そして、会を通して、時代に迎合するのではなく、このような時代であるからこそ、もう一度、保育所とはどんな施設であるのか、子どもにとって真の環境である保育所はどのような施設でなければならないかを考えることにした。
それは、幼児の教育的要素が加わってきた保育園、反対に、幼児の保育的要素が加わってきた幼稚園、その中で、保育所でしかできないこととは何であろうか。低年齢児からの発達段階をきちんと踏まえた保育、乳幼児の生活を保障するスタッフ(保母・保健婦・栄養士)の充実、そして、何よりも保護者の生活に関わる故に、より地域に密着した保育の展開ではなかろうかということになった。

4.第1回「乳幼児の世界」展に向けて
会を発足して日も浅いが、唯、話し合いを重ねても、また悩みを慰め合っていても、そして、行政の差し伸べる救いの手を待っているよりも、まず我々から行動をしていこう、その前進、行動の中から、自ら研究し、真の姿を探っていこうといことで「保育展」を計画したのである。その内容として、保育所の持っている人材、情報、実践の広く地域への提供、活用を行う。その為に、保育園そのもののPRはなくし、また研究会メンバーを表面に出さず、ただ、乳幼児とは、乳幼児に対してどのようなことをしていったらよいかを共に考えていくような催しにし、それを常に考えているのが「保育所」であるということは、展示を見終って感じる程度に留めることにした。そこで、展示会名を“賢い育児をする為に”と決定し、乳幼児の発達、乳幼児を取り巻く環境等の展示、保育所スタッフによる育児相談を骨子に据えた。これが、年が明けての61年1月、八王子駅ビル内「市民ホール」で、金土の2日間にわたり開催されたのである。
この催しは、場所に恵まれたこともあり、両日で1000名余りの見学者、100名余りの相談者(これは展示を見ながらの相談も含む)を数え、地域社会における保育所の役割りの一端を感じた次第であった。

5.自主事業を重ねて
61年度を迎えて、また保育展を通して、会員相互の親密が深まるに連れ、各園の見直しを含め、会としての事業計画を立てることにした。そして、1期に研修会開催、2期に保育展開催、3期に資料の整理とし、活動をそれに合わせて展開すること。それは、決して諸団体、八王子私立保育園協会とは競合するのではなく、バックアップをしたり、独自の活動ということで、例えば、研修会は一般市民向けにも行うこと等とした。この趣旨で開かれた「手作りおもちゃ研修会」は参加者のほとんどが保母であったが、お知らせ等で一般市民に対してこのような活動をPRする効果はあったように思えた。

6.第2回「乳幼児の世界」展
保育展に対して、第1回の成功から第2回への期待と効果が、各方面から注目されることになった。今回は、はっきりと保育園の団体が、保育所の持っているノウハウを、一般市民に提供し、保育所をより地域活動の核とする為の展示といった意味合いを強く押し出したのである。具体的には、八王子市をはじめ、社協、保健所等と連携を持ち、そのご援助をいただいたこと。前回の展示、育児相談に加えて、会期中に、研修会、講演会も併せて行い、園職員による幼児向けの出し物も計画に入れた。また、当日の資料集として「小冊子」を作成し、その末尾に、八王子市内の保育園名と地図を公私立あわせて掲載した。内容とし、前年度親からの視点からの育児を、今回、子どもの立場に立って、ということで、副題を“今、子ども達が求めているものは”とし、具体的に、幼児の発達を、いろいろな方面から、実際に体験してもらうことにした。
この準備段階から、全員に甲の原保育園副園長の伊藤先生が加わり、10名となった。この第2回の展示の為の準備は、子どもの視点に立った見直しの点で、我々自身も大変勉強になり、反省材料になった。例えば、よく、子どもの目の高さで物を見るようにという言葉を、実際に、地上1mの高さから、駅、デパート、人混み、通りをビデオ撮影し、試写してみてより実感することができ、園設備等にも非常に参考になった。保育所の地域社会への還元、地域福祉サービス等は、決して、与えるものではなく、与えられるものの多い活動であり、また、それがなくては、続くものではないということを確認し、今後の会の見通しもついた気がした。

7.より充実を求めて
この第2回の保育展の展示物を、三保連(三多摩地区保育連合)の集会に再掲したり、富山県からの問い合わせによる資料提供などを通じて、他団体との連携も行われるようになった。62年度は、そんなことも含めて、年間統一テーマを“ふれあい”とした。まず、5月に、京都の保育所見学。ここで夜間保育を含め、保育所の社会化の1つの形を勉強した。夏には、保母の1泊研修会を大学セミナーハウスで主催、他の地域、他の保育園との交流、また、セミナーの客員講師の1人として、八王子市長にお出いただき、保母との交流を含め、保育所としての役割等をご理解いただいた。これらを経て、第3回「乳幼児の世界」展を迎えたのである。副題は“子どもとのふれあいを求めて”。しかし、今回にあたり、もっとも議論を費したのが、今後の研究会の在り方、進む方向を含めての展示内容であった。そして、結論として、あくまでも個々の園の紹介、PRを主にした活動ではなく、乳幼児の研究、保育方法、運営の勉強、その情報なり、研究成果、提案の地域社会への還元を中心に据える。その意味で、展示内容は地味になろうとも、その中に、その意図が感じられるものにする。そして、それは、単なる研究者としてではなく、各々が皆現場を持ち、日々保育を展開している者として特性を生かすこと。具体的に第3回は、子ども、保護者、保母からのアンケートを基に考察を加える形とする。その内容をすべて小冊子に盛り込む。そのような方針がはっきりした為に、はじめて、文責として研究会名簿を末尾に掲載することができたのである。また、このような方向づけが、協会にも、行政側にも理解していただき、第3回保育展の展示物を、市より、保育所入所受付け期間中、市役所玄関ロビーに展示依頼されたのである。また、某出版社より、現場よりの意見を取り入れた「手作りおもちゃ」の本を出版し、また、福岡県、埼玉県などからも同様の保育展の計画に際し、資料提供を行ってきた。

8.今後の課題
保育所のそもそもの発生からして、地域から生まれた施設として、単に入所者へのサービスから、もう一度、地域に返すべきであろう。そして、地域改善、社会改善まで含めた存在こそ、借置児が減少しても存在価値があるものになるのではないか。それがまた、地域の教育力、親の育児能力のレベルアップを促し、入所者への保育向上にもつながるのではなかろうか。63年度から、大塚保育園副園長の石坂先生を加え、より充実を求め、協力園なども増やしていきたいと思っている「八王子保育所研究会」は各地で色々な形で保育所の役割の拡大を試行する事を望むものである。

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月日 開催名 テーマ
1985 10/29 八王子保育研究会 発足
1986 1/11・12 第1回 【乳幼児の世界】展 より賢い育児をするために
6/11 第1回 【育児懇談会】 手作りおもちゃ 作って遊ぼう
12/5・6 第2回 【乳幼児の世界】展 今、子どもたちが求めているものは
1987 8/3・4 第1回 【サマーセミナー】 保護者と子どものふれあいを求めて
11/13・14 第3回 【乳幼児の世界】展 子どもとのふれあいを求めて
1988   第1回 【市役所ロビー展示】  
4/20 第1回 【保育所運営研修会】 経理●通知研修会
7/12 第2回 【育児懇談会】 八王子の民話・童話
12/2・4 第4回 【乳幼児の世界】展 くう ねる あそぶ
1989   第2回 【市役所ロビー展示】  
  第1回 【保育展サミット】  
8/9・10 第2回 【サマーセミナー】 子どもの●●にかえって
12/1・3 第5回 【乳幼児の世界】展 “子ども探検ツアー”募集中
  第3回 【市役所ロビー展示】  
1990 5/16 第3回 【育児懇談会】 愛育かくし味
  第2回 【保育展サミット】  
12/1・2 第6回 【乳幼児の世界】展 ファジー育児のすすめ
  第4回 【市役所ロビー展示】  
1991 8/26・27 第3回 【サマーセミナー】 子ども探検ツアー
12/7・8 第7回 【乳幼児の世界】展 パパとまま、どっちが育児なし
1992 12/5〜6 第8回【乳幼児の世界】展 子供を救うかんたん50の方法

1993

12/4〜5 第9回【乳幼児の世界】展 育児も時短

1994

12/3〜4 第10回【乳幼児の世界】展 イエローカードを出されないために
1995 12/2〜3 第11回【乳幼児の世界】展 もの言えぬものから
1996 12/7〜8 第12回【乳幼児の世界】展 Shall We 育児?
1997 12/6〜7 第13回【乳幼児の世界】展 遊びの発信基地 作って遊ぼう 現在
1999 1/23〜24 第14回【乳幼児の世界】展 遊びの発信基地 伝承遊び 過去
2000 1/29〜30 第15回【乳幼児の世界】展 ようこそ|未来の世界に EPISODE

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