造形活動

(造形講師:小口 偉)

「チョンチョン、ペタペタ、ゴシゴシ、グルグル、ピュー…」子ども達と「えのぐ」をしていると、そんな言葉がよく聞こえてきます。何かを描くというわけではないようですが、手を動かし、筆の軌跡を追いかけながら「描くこと」を自分の発する言葉のリズムと共に夢中になってやってます。子どもの「描き、造る」行為は、大人にとって一見ごく当たり前の行為のようで、ともすると、子どものやり過ぎについつい口を挟んでしまいがちです。しかしこの「夢中でやったこと」には、「造形」の大切な事がたくさん詰まっています。子どもにとって未知のモノ(造形の素材、道具)への働きかけは、そのモノ自体を知ることだけに留まらず、自分の生きている世界を全身で知ろうとすることなのです。動かぬ素材に対して働きかけ、その行為によって生じた素材の変化に驚き、納得のいくまで「働きかけ=遊び」が続きます。

 年齢が高くなるにつれ出来ることも増えて、よりたくましく、より細やかな表現の仕方が多くなりますが、それだけが良いわけではありません。思うように行かず、悔しい思いをして何度もやり直しをしたり、同じ題材の中でも、それぞれの子どもの関心事も違います。「表現」というと「他に対して〜を伝える」という側面が協調されますが、その行為の中には同時に「自分自身や素材との対話」も存在します。見た目のきれい・きたない、上手・下手ではなく、それぞれの子ども達の心に起こる、様々な想いや葛藤の結果、作品が残ります。作品をつくるための造形の時間ではなく、試行錯誤しながら自らの手で造り出す楽しさを知り、生活の中で豊かにモノや人と触れ合えること、造形活動を通して社会活動の基盤を獲得していくことがこの時間の大きなねらいです。

茶道の時間

(茶道講師:主任 古屋三千子)

「幼児がお茶をする」ちょっと難しいのでは…?と思われる方も多い事でしょう。
 確かに日本を代表する伝統文化の一つである茶道は大変奥深いもので、一生かかっても極める事のできない部分もたくさんあります。
 園としてはお茶のお点前(お茶をたてる手順)を覚える事が目的ではなく、お茶を通して「和の心」や「静の心」を養い育てる事を目的としています。
 子ども達は普段、元気いっぱいに遊ぶ「動の世界」で生きています。その中でも、落ち着いて絵本を読む時間、お話を聞く時間、物を作る事に集中する時間などと同じ様に、お茶の時間という「静の時間」を作ってあげる事が大切だと思っています。

 敷居はまたぐ、畳のへりは踏まない、正座の仕方、手の組み方、立ち上がり方、相手への心配りなど、普段の日本間での作法を覚えます。
 そして心落ち着くお香の香りを嗅ぎ、静寂の中で釜の湯の音やお茶を立てる音に耳を傾け、少しの間の緊張感を五感で味わう。
 こうした経験は子ども達の豊かな感性を育てる上でとても大切な事だと思います。また、お茶のもう一つの楽しみは、なんと言ってもお菓子を頂ける事。決して値段の高いものではありませんが、真っ白い懐紙の上にひとつひとつ乗っているお菓子は何故だかおいしそうに見えるのです。そして初めて飲むお抹茶を「にが〜い!」と言って飲めなかった子も、2年間のうちには「あ〜おいしかった!」との感想をもらします。

 保育園にお茶の時間を設けたのは平成4年の年長さんからでした。そしてその後、お茶の同窓会を始めたのが平成14年からになります。
 保育園を卒園したらそこで縁が切れしまうなんて淋しいなと思い、始めた同窓会。毎年5月の土曜日に小学1年生から高校3年生までの卒園児が70名以上も集まってくれ、近況を報告しあい楽しいひと時を過ごします。皆それぞれ部活動などで忙しい中を友達と連絡を取り合いながら、成長した凛々しい顔を見せに来てくれ、とても嬉しく思います。

大人になった時に「あ〜そういえば保育園の頃、お茶を経験したなぁ」という記憶が少しでも残ってくれたらとの願いを込めて、これからも続けられる限り続けていきたいと思っています。

体操の時間

(体操講師:梅澤昌由)

年少・年中・年長組で行っている体操です。一番大事にしていることは、身体を動かすことの楽しさや喜びを知ってもらうことです。運動が好きな子、嫌いな子、得意な子、苦手な子、いろいろ居ると思いますが、みんなで仲良く、元気に、身体を動かしスポーツの楽しさを知ってほしいと考えています。
体操の時間では出来る、出来ない、を重要にはしません。
出来ないことにもチャレンジし、何事にもくじけず頑張る力、積極的に取り組もうとする意欲を育てていき、そして出来たときの喜びを一緒に分かち合い更に運動することが好きになってもらいたいと思います。

指導は年齢や個々の体力に合わせ指導をしていきます。子どもたちが大好きな「遊び」(いろいろな鬼ごっこ・水おになど)からいろいろな動きを取り入れ、その中でコーディネーショントレーニングを行うことで感覚や神経系に働きかけていきます。これから成長していく上でとても大切な身体の動かし方や使い方をトレーニングします。
集団のルールを守ることも大事です。並び方や順番、お話しを聞く姿勢などもクラスが進むごとに出来ていきます。またお友だちと力を合わせ協力する体操(ドッジボール・リレー・鬼ごっこ・組体操)では、相手を思いやる心を育てていけると考えています。

主な活動は、マット・跳び箱・鉄棒・ボール・縄跳び・夏季はプール指導を行っています。先にも書いてあるように「出来ること」がすべてではありません。いろいろな運動・用具を使い経験、体験することで身体の成長を養っていくことを目的としています。
クラスごと年間指導計画を作成しますが、自分に合った目標を決め「こんな事出来るようになりたいな〜、これは難しいけど頑張ってチャレンジしてみよう!」などご家族と話し合っていただき、やる気に繋がっていけたらなと考えています。
運動会では年中・年長組で組体操を行います。ぎこちなかった年中組から一年でとても成長した姿がみられる年長組の6人組は見所です。

体操の時間でも「明るく 正しく 仲良く」の合言葉の元、楽しく元気に行っていきます。